日本人はマーケティングを正しく理解していない。
実は理解していないのではなく「理解できない」のだ。なぜか?答えは簡単だ。
マーケティングにはこれだ!という日本語訳がない。それが理由だ。
試しに英和辞典で「marketing」の意味を調べてみるといい。ある辞典にはこう書かれている。
「広告宣伝・輸送・保管・販売など、商品の流通に関する活動全般」
またある辞書にはこう書かれている。
「マーケティング、市場取引」と。
あなたはこの日本語訳でマーケティングを理解することができるだろうか?まともな日本語訳もないものを、日本人に理解しろ!ということ自体に無理がある。
私が講師を務めたセミナーで受講者にこう聞いたことがある。
「マーケティングの意味は?」と。
40%の受講者が「販売促進」又は「広告宣伝」の事だと答えた。
20%は「市場調査」の事だと答えた。
10%は「?」だった。
「マーケティング」という言葉は誰もが知っている。しかし、その意味を正しく理解している人はわずか30%だ!
マーケティングとは何か?を知りたくて書籍を購入する。
「マーケティング協会の定義」「4P」「マーケティング・ミックス」「3C」「STP」「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」「製品ライフサイクル」「競争理論」「差別化戦略」「PPM」、「CS」「CRM」などなど、
あなたはたくさんの「マーケティング理論」「戦略」「戦術」を知ることができる。
しかし、あなたはきっとこんな感想を持つはずだ!
「やっぱりマーケティングは何だかよくわからない!」と。
ドイツの心理学者へルマン・エビングハウスはこう言った。
「無意味な言葉の記憶は、24時間たてば74%が失われる」と。
マーケティングの意味がわからないまま、いくら言葉だけを学んでも、24時間後には74%が忘却のかなただ!
マーケティングの本質を探る上で、まずその意味を知ることは非常に重要だ!
だからここで、あなたが一瞬でマーケティングの達人になれる、とっておきの裏技を教える!それは、
マーケティングの日本語訳は「売れる・儲かる仕組み」と覚えなさい!
という裏技である。
言語学的にどうだとか、マーケティング協会の定義がどうだとか、とりあえずそんなことは無視だ!
この日本語訳さえ覚えてしまえば難解なマーケティングの書籍も、面白いほどスラスラ理解できるようになる。
ウソだと思うなら試しに、難しそうなマーケティングの教科書を1冊手にとってみるといい。
これはあくまでも日本語訳なので「マーケティング」という単語はすべて「売れる・儲かる仕組み」という単語に置き換えてしまうことができる。そこがミソだ。例えば、
「ワン・トウ・ワン・マーケティングとは、顧客と企業が一対一の関係を築くことで作り上げられた売れる・儲かる仕組みである」と。
「エモーショナル・マーケティングとは、顧客の感情に訴えることで作り上げられた売れる・儲かる仕組みのことである」
「マーケティング・リサーチとは単に市場調査を行うことではなく、売れる・儲かる仕組みになるものは何か?を調べることだ」と。
経済誌にはよく以下のような難解な言い回しの論評が掲載されている。
経営の安定化をはかるために、マーケティングを強化することは、どの企業でも考えることだ。しかし、本当の問題は見かけだけのマーケティングらしきものは存在するものの、実際には肝心のマーケティングそのものがまったく機能していないことだ。これでは収益の改善など達成しえない。
さて、この文章の「マーケティング」という単語をすべて「売れる・儲かる仕組み」に置き換えて読んでみてほしい。この難解な文章が目からウロコで理解できるはずだ。そして、ここだけの話、たいしたことを言っている訳ではないな!ということにも気づいたはずだ。