【真実のマーケティング辞典】
マーケティングの3Cとは?
Customer (顧客)
Competitor (競合)
Company (自社)
ビジネス戦争論では自社と敵である競合の概念しかなく、顧客が無視されているが、3Cにはきちんと顧客が位置づけられている。
マーケティングを実践してゆく上で、この3Cのそれぞれに関して十分な分析できているかどうかがマーケティング戦略を構築する上で重要となる。
3CではCustomer(顧客)の次に、Company(自社)を理解すべきであろう。競合他社を知ることも、もちろん重要だが、その前にあなたは「己」について知らなくてはならない。
競合他社の強みを研究しそれに追いつこうとする前に、あなた自身の強みを発見し、それを磨き上げてゆくべきだ。
顧客のためにあなたがどう変わるべきかを考えるよりも、今のあなたが持っているものをさらに磨き上げ、それで顧客のために何ができるかを考えるべきだ。
自らの会社の強みを正しく理解することが、戦略構築のベースになる。こうして戦略を構築すれば成功の可能性は高まるだけでなく、リスクも低く抑えられる。つまりローリスク・ハイリターンを狙える戦略が構築できるのだ。
マーケティング戦略が失敗する、理由のひとつに「己」を見失うことがある。己の強みを殺してしまい、不用意に弱みを改善し、なんとか競合他社に追いつこうとする。いつもこうして事業は失敗してゆく。
あなたがすべきことはあなた自身の「強み」を徹底的にさぐること。そしてさぐりあてた強みを、完璧に磨き上げることだ。
そしてあなたの会社の強みこそ、これからあなたが生みだす、独自性の高いユニークな商品やサービスの源泉となるのだ。
ヒットするユニークな商品やサービスは、偶発的に生まれるものではない。あなたの会社の「強み」をベースに戦略的に生みだすべきものだ。
あなたの強みを磨き上げろ!
まずはあなたの会社の「強み」を書き出してほしい。ランダムでかまわない。できるだけ細かく書き出してゆく。ポイントは競合他社にはない、あなたの会社だけの「強み」を発見することだ。No.1だ!というものを見つけよう。
No.1にもいろいろある。世界No.1、日本No.1、地域No.1、業界No.1、この商品分野でNo.1などだ。
又、技術、人材、ブランド、コストなどでも、あなたの会社が誇れる強みがあれば書き出しておく。
これら無形の強みこそが、本当の意味であなたの会社の強力な資産なのだ!
さて次に行うべきことがある。それはあなたの会社の「弱み」を明らかにすることである。「弱み」に関しても徹底的に書き出しを行う。
私たちは小学校でこう教育されてきた。「良いところは伸ばしなさい!悪いところがあれば直しなさい!」と。ところがビジネスの世界ではこの道徳教育を真に受けてはいけない。
「良いところは伸ばしなさい=強みを徹底的に磨き上げよ!」これはいい。だが「悪いところがあれば直しなさい=弱みを改善せよ!」不用意にこれを行ってはいけない!「弱みは改善するな!」実はこれが鉄則だ!
あなたの弱みは強みに転換せよ!
弱みは多くの場合、競合他社との比較により認識される。つまりあなたの会社の弱みは、競合他社の強みである可能性が高い。隣の芝は青いの原則だ。
あなたの会社の弱みを改善するということは、競合会社の強みをそのまま取り入れることを意味する。今から追いかけはじめても簡単に追いつけるものではない。
そもそも競合他社の強みにあなたが追いつく必要はあるのか?
本気で考えてみてほしい。
では「弱み」は放置しておけばいいのか?そうではない。
「弱み」は「強み」に転換してしまうのだ。
あなたの会社の弱みとは、競合他社の強みの裏返しである。
の弱みは、独自性の高いユニークなものの源泉である可能性が高い。
弱みを強みに転換するのは難しいことではない。
例えばこんな話がある。
「当社の弱みはデザインが斬新ではないことです。若年層への訴求力に弱いのです」と答えた会社がある。
若者に支持される高デザイン商品は他社の強みだ。
多くの場合、ここで自社も高デザイン化をはかる。
つまり弱みを改善しようとするのだ。この選択は正しくない。
「では、あなたが獲得している顧客層は?」と質問を続ける。
「比較的高齢者の方が多いですね」という答えを引き出した。
この会社は若年層への訴求力が弱い」ことを弱みとした。一方で斬新ではない落ちついたデザインは、高齢者層に支持されていたのであるこれを強みと呼ばないで、何を強みと呼ぶのか?
この会社は商品を高齢者向けに特化させることで、独自性の高いユニークな存在となれたのだ。
この様に多くの場合、
弱みを強みに転換するコツは、販売ターゲットの変更である。あなたの会社の商品やサービスを喜んで迎え入れてくれる人に売る!これが鉄則だ。
顧客ターゲットを変えることで、弱みが強みに転換されるポイントが見つかるはずだ。
強みは弱み、機会は脅威だ。
さて賢明なあなたはもう気づいただろう。反対に強みは弱みとなることがある。
だから強みは常に完璧に磨き上げておく必要がある。弱みを不用意に改善するよりは、強みを磨く方が優先順位は高い。
マーケティングインストラクター 森本尚樹