今日、机の中を整理していたら1枚のチケットが出てきました。
そこには「ワンマンライブ2008/12/14」と印刷されていました。
11年以上の前のチケットです。
チケットを手にしたとたんに、僕はあの頃の桜木町の風の匂いを思い出していました。
皆さんには人生を変えてくれた音楽やバンドはありますか?僕にはあります。
彼らと出会ったのは桜木町の駅前広場の路上ライブでした。何度か彼らの路上ライブに行き、そして購入したのがこのチケットでした。
彼らにとってのはじめてのワンマンライブ。
それから僕は妻と5歳と3歳の子供たちを連れて毎週のように路上ライブに行くようになりました。路上ライブでは彼らだけでなく、たくさんのファンの方々との出会いもありました。そして小さな息子や娘と遊んでくれる優しいお姉さんたちもたくさんいました。
僕はちょうど会社を設立して3年目で本当にようやく仕事が軌道に乗り始めた頃でした。その時に僕が彼らの音楽の中から感じ取っていたのは挫折と再生のメッセージでした。まさに自分のことが歌われているような楽曲の数々でした。
どんなに彼らの歌があの頃の僕に勇気を与えてくれたか。どんなに彼らの演奏があの頃の僕に力をくれたか。
倒壊するのではないかと思うほどの強い地震が続く光のまったく届かない仙台の避難所の中で、僕が聞いていたのも彼らの演奏でした。
彼らの音楽こそが僕の光そのものでした。
あまり人には話したことがないのですが、一時期、僕の会社はある出来事により危機的な状況に陥っていました。僕がそれを乗り越えることができたのも、彼らの音楽がそこにあったからです。
ドラムス、歌詞、ベース、ボーカル、ギター、歌、メロディ、そのすべてがいつも、いつも力を与えてくれました。
あれから11年。
彼らは今も音楽を続けています。バンド名はかわりましたが、彼らは今も音楽を続け、歌を届けています。
すごいことだと僕は思います。
僕は改名後の彼らのバンドのライブを見に行くことはなくなりました。ただ彼らを応援する気持ちは今も少しも変わっていません。卒業したメンバーも含めて、彼らが幸せであることをいつも祈っています。
うまく言えませんが、彼らの音楽はあの頃の僕と同じように、たくさんの人の魂を震わせているのだと思います。彼らが変わったことで、彼らが進んだことで、新しく彼らに出会えた、たくさんの人たちの思いをリアルに感じることがでできます。
立ち止まらなかったことが答えなのだと思います。
そして、
路上ライブで無邪気に走り回っていた5歳だった息子は高校に入学しました。彼が入部したのは軽音楽部でした。彼は僕が高校生の時に購入したYAMAHAのギターを弾いています。
憧れの目で彼らの演奏をじっと見ていた3歳の娘は中学に入学しました。そして彼女は自分でギターを買い、歌を作っています。
そして僕も。
ループステーションというエフェクターに出会い、再び音を紡ぐ楽しさや感動を手にしました。
中学1年生でギターに出会い23歳まで、僕は音楽以外に本当に何もしませんでした。
その反動からか僕は彼らに出会うまで、20年以上も音楽のことをずっと忘れていました。
彼らがつないでくれた奇跡です。
今は困難な時だと思います。これからは少し何かを変えていかなくてはならないかもしれません。でも本当に大切なものは何も変わらない。
あるがままに。
改めて心からの感謝を。奇跡の日は今も続いているよ。