顧客を選ぶということ

2013/04/03 15:55:52

本当にたくさんの、たくさんの経営者の方々にお話ししてきて、残念ながら最も理解いただけなかった事があります。

それは「顧客を選びなさい!」という重要なマーケティング理論です。

「こんな時代、顧客を選ぶなんて悠長なことを言ってられるのか?」
「そんな事を言っていたら食っていける訳がない」

そんな反論をそれこそ何十人、何百人から聞いてきました。

 

少なくとも私は実践しています。まったく仕事がない時代からこのルールだけは守り続けてきました。

 

「嫌な客とは絶対に仕事をしない」

 

サラリーマンを辞めて独立してから、どうしても守りたかったこと。それが嫌な客とはもう仕事をしないということでした。サラリーマン時代にはそれは確かに不可能でした。むしろ私は会社の中で、いわゆる嫌な人、困った人、怒っている顧客、報酬、ロイヤルティ、謝礼、アライアンスなど、いわゆるお金が絡む件を専門に行って来ました。

 

後半は強烈なクレームから、信頼関係を短い時間の中で再構築し、帰る時には笑顔でおくりだしてくれる。そんなことに快感すら覚えていました。

先方と単刀直入にお金の話を持ち出し、冷静を装う交渉相手の顔が紅潮するのを楽しんですらいました。ちょっと病んでいました。

でも独立した時に改めて思い起こすと、もうこんなことを繰り返して人生をおくりたくないと強く思いました。

「嫌な客とは絶対に仕事をしない」
「いやな仕事は断る」と決めました。

確かに初期に喉から手がでるほどに仕事がほしかった時、
目の前の嫌な仕事にも何度も手を出しそうになりました。

でもそうはしませんでした。そして、今があります。
このブログにも何度も書いていますが、私は私の現クライアントを心から尊敬しています。
私の自慢はそのまま私のクライアントです。

 

あの時に嫌な仕事に手を伸ばしていたら、今もそうした仕事に大部分の時間を取られ、利益の少ない大量の仕事にまみれて、身動きが取れなくなっていたかもしれません。

 

誰からも感謝されず、納期や価格、内容やクオリティに文句を付けられる毎日だったかもしれません。でも今はその正反対に世界にいます。

 

では顧客を選ぶことは本当に困難なのか?
仕事に余裕がなければ決してできないことなのか?

 

これは半分が正解で半分が不正解です。

本当に大切なことは嫌な客とは仕事をしない、嫌な仕事にはもう手を出さないと今すぐに誓うことです。そしてそれが本当に実現できるように今すぐに動き出すことです。

 

ご存知のように売上は以下の単純明快な公式で成立します。

 

売上=顧客数×顧客単価

 

そして顧客数とは新規顧客と既存顧客を合算したものとなります。
既存顧客は一定数、流出してしまいます。

 

だからこそ新規顧客を獲得しなくてはならない訳ですが、
既存顧客の流出を防ぐことは可能です。

 

まずあなたが望む顧客の流出策を考えてください。
そのヒントはコミュニケーションです。
次にあなたが望む顧客を獲得してください。
そのヒントはターゲットを絞り、ターゲットの抱える問題を解決することです。

 

この2つを実行しまずは売り上げを伸ばしてください。
そして最終ステップは以下の2つを実行してください。

 

既存顧客の中からあなたが望まない嫌な客、横柄な客、無理難題を言い出す客をリリースしてください。

方法は簡単です。真摯にまた丁寧に、もうその(無理難題な)ご要望にはお答えできないことをお伝えすればいいのです。

そして新規の顧客。もっと簡単です。嫌な客の仕事は受けなければいいだけです。

経営者の方は顧客を選ぶことができます。
あなたが尊敬でき、あなたに心から感謝して商品を購入してくれる顧客に囲まれ仕事をする世界を作り出すことができるのです。

 

そのためにも今はまだ我慢したとしても、まずは売り上げを上げてください。あなたが本当に望む顧客に商品やサービスが売れるような仕組みを、寝ないで考えてみてください。

 

そうすればあなただけでなく、あなたの会社の従業員たちも幸せになれます。
幸せはいつでも伝播します。伝播した幸せは、たくさんのギフトを抱えて再びあなたに戻るでしょう。

 

嫌な客と嫌な仕事をしないためにできること。
それはまずあなたの頭の中にある「そんなことできっこない」という壁を取り壊すことなのです。

 

マーケティング・インストラクター 森本尚樹