「森本さんは人前で話すのに緊張とかしないんでしょうね」
と私の講演を聴いたことがあるクライアントの方に言われました。
お話を聞くと自分はあがり症で困っていると言います。
「緊張しないコツとかあるのですか?」そう質問されました。
「いえいえ私だって緊張しますよ」と笑って答えました。
以前にバンド活動をかなり本気でやっていたことをお話しました。バンドでは最大で800名の前で演奏した経験があります。ライブハウスの狭い地下室に120名を集客したときには、それ以上に圧倒されました。
いつも本番の朝には胃が痛くなり、本番前の楽屋では手が震えました。でもカウントが始まるとすべての緊張から開放されるのです。
どうしてだかわかりますか?
それは何度も練習を繰り返していたからです。他のバンドの方は知りませんが、我々は本番の数週間前から、本番と同じ曲順で、同じセッティングで通しのリハーサルを何度も何度も行っていました。MCの終わり方から次の曲の始め方まで、すべてを完全に体に叩き込み、本番に臨んでいました。だから本番と同時に緊張は消えるのです。そして完全なリハーサルがあるからこそ、本番ではさまざまなアドリブができるのです。いつでも流れに帰れる安心感があるからこそアドリブがきくのです。
今も知らない土地で、知らない人の集まる場所に行く。これは未知のことです。だから緊張もします。しかし壇上で話をはじめれば、そこから先は私がよく知っている世界です。だから緊張することはありません。
まず何度も練習をしてください。恥ずかしがらず大きな声を出して。そしてもうひとつ、会議での発表、人前での挨拶やスピーチ。さあ始まるぞという時に、そして司会者の方があなたを紹介してくれはじめたら、そのあいだずっときちんと前を向いて、笑顔を作りそれを維持してみてください。ニコニコするのです。きっとあなたの体から何かがスッと抜けていくはずですよ。